こんにちは、ピコシムです。
毎年給料が右肩上がりだった昭和の時代は、家族の大黒柱が一つの仕事をしていれば家族を養えました。
しかし、人口減少や高齢化で国内マーケットが縮小し、売上が達成できず昇給が簡単にできない時代に突入しました。
1つの会社ではハイリスク・ローリターンの時代へ
かつては、一つの会社で骨を埋めるつもりで安心して働けました。
しかし、今は給料は上がりませんし、いつリストラされるか分かりません。
また、同一労働同一賃金への転換により、安倍総理は、
正社員と非正規労働者の賃金差を欧州諸国並みへ改善する
としています。正社員の給与は下げられます。
また、消費税の増税や社会保険料、介護保険料、年金保険料など負担が増える一方、可処分所得はどんどん減っていきます。
このような国の潮流を見ると、たとえ正社員でも1つの給与所得ではハイリスクでローリターンです。
副業をして別に収入を持つことは、合理的判断といえます。
しかし、日本では民間企業の5割が副業禁止、2割が許可制になっています。
経営者は幾つものビジネスをすることが可能ですが、大多数の労働者は1つの勤務先でしか仕事ができません。
当然収入は1つだけ。貯金もできず、企業が倒産したり、リストラされれば、運良く退職金が少しでても、すぐに家族は路頭に迷います。住宅ローン返済中ならあっという間にTHE ENDです。
それって、世の中のサラリーマンにとって恐ろしく非合理で非人道的です。
民間企業の副業禁止規定は、公務員の副業禁止の項目と類似します
- 信用失墜行為の禁止(会社の名刺を勝手に使うな)、
- 守秘義務(競合起業で副業するな)
- 職務専念の義務(本業に専念し副業するな)
に倣ったものが大半です。
個人の自由を制限するこの規定は、裁判所の判例では労働者側の勝訴となっています。
また、厚生労働省の研究機関でも
- 労働者の私生活上の自由を尊重し、就業規則で全面的に禁止とする取扱いは、特別な場合を除き、許されない
- 就業時間外の兼業・二重就職であっても、就業規則によって企業が使用者の許可制にすることは肯定する
としています。
参考:(47)【服務規律・懲戒制度等】兼業・二重就職|労働政策研究・研修機構(JILPT)(モデル判例記載)
国が率先して副業を奨励して経済力を強化
民間サラリーマンの副業奨励の前の段階で、
国は率先して、『公務員の副業を積極的に奨励』するキャンペーンを行い、
一億総活躍社会の起爆剤、経済成長率2%達成のために、330万人の公務員の能力を活用してみましょう。
特に非正規・臨時公務員の約60万人の人たちは薄給で基幹業務をしているうえ、ボーナスもないので、副業することは当然の権利です。
将来、同一労働同一賃金になったとき、正職員の一人あたりの賃金が下がるのだから、国は公務員の副業を積極的に奨励し始めたほうがいいでしょう。
それによって、
- 民間では当たり前のマーケット感覚を持つことができる
- 自らお金を稼ぐことで1000円の収入の大切さを理解する
- 普段の職場と全く違う世界を体験できて、視野が広がり、業務に工夫をする発想が生まれる
その結果、
- 既存の枠組み(法制度、通達、条例、要綱)に囚われず、社会にとって最適な解決策を考えることができる
- 最適な解決策を議会や議員に提案する
- 前例がないのでダメですとか発想がなくなる(はず)
- 万が一、国や地方が財政破綻してギリシャのように公務員がリストラされても、自力で稼げるように今から準備することができる
- 公務員でも副業をしているから、民間でも空気を読んで副業禁止規定を外す動きがでる(クールビス普及のように)
とメリットが多いです。
以前、
社会問題は知識化してシェアしよう で使った図を使うと、
副業問題は、こんな感じ、
という形になります。
もちろん、
公務員の直接業務に関係あるものを除き、それ以外副業なら何でも推奨しましょう。
仕事が終わったら、個々の公務員の有り余っている能力をマーケットに生かして、アルバイトOK、起業OK、はてなブログでアフェリエイト収入OKにして、GDPを押し上げましょう。
公務員の副業禁止規定
でも、そんなこといったって、現実に公務員には副業禁止規定があってできないじゃいかと9割9分の人に反論されるのは承知です。
例えば下のような、
国家公務員法103条(私企業からの隔離)
職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない
国家公務員法104条(他の事業又は事務の関与制限)
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
地方公務員法第38条(営利企業等の従事制限)
職員は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利を目的とする私企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない
国家公務員法第99条(信用失墜行為の禁止)
職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。国家公務員法第100条(秘密を守る義務)
職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。
国家公務員法第101条(職務に専念する義務)
職員は、法律又は命令の定める場合を除いては、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責
遂行のために用い、政府がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
それらがあるから、副業禁止規定は規則で決まっていて、無理な理由は100個ぐらい出るよ!と反論される方は、世界に目を向けてみましょう。
世界の公務員の副業は当たり前
アメリカ
アメリカの公務員は基本的に副業は何でも認められています。
工事現場でのアルバイト、ドーナツショップの経営など勤務時間外なら何でもありです。
副業禁止は事実上ない。消防士、警察官を含む公務員の副業さえも認められている。日本では公務員法を根拠に公務員の副業は原則禁じられている。
基本的考え方として、就業時間外は個人の時間とみなされる。その時間は、副業であろうと従業員が好きなことをして構わない。副業が従業員のパフォーマンスの妨げにならなければ、会社は口出しできない。
アメリカ大使館に副業についてメールで聞いたら、1日で回答が来ましたよ。
参考:
スティーブン・セガール副業は警察官、しかも「日本びいきな銃の指導」をするらしい | Pouch[ポーチ]
米国における地域の治安維持活動~機関連携と防犯活動を中心に~Clair Report No. 348 (February 23, 2010)
イギリス
AFP通信によると、イギリスでは警察官の1割にあたる23,000人が副業をしています。
ポールダンスインストラクター、DJ、葬儀屋など多種多様です。
英警官の1割に副業、なかには驚きの職種も 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
警察官が副業でポールダンスインストラクター、DJ、葬儀屋…イギリスの警察官達の裏の顔 | 日刊テラフォー
ドイツ
副業の禁止は、労働者の私生活の自由への侵害が大きいとして無効とみなている。
ドイツでは公務員を含めた労働者は、本業の他に15時間未満のミニジョブ(僅少労働)をして働います。
2014年のミニジョブ労働者は計750万人で、2003年のハルツ改革以降、約200万人増加した。
このうち、ミニジョブの専業従事者は510万人で、本業のほかに税負担のない副業としてミニジョブに従事する者は240万人であった。
また、ミニジョブ労働者は、小売、飲食、宿泊、保健・医療施設、福祉施設、ビル清掃業などのサービス分野で多く働いている。
ミニジョブの現状と課題(ドイツ:2016年1月)|労働政策研究・研修機構(JILPT)
【ドイツ】ドイツの副業従事者数が過去最高に[社会]/NNA.EU
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2006/07/pdf/015-025.pdf
欧米諸国の公立学校教員
欧米各国では先進国になるほど教員の待遇が悪いため、普通の小学校教師の給料で生活を維持するのは困難であり、多くの人が職を掛け持ちしている。
欧米で仕事を掛け持ちする「マルチワーカー」が増加中。日本では普及しないワケ | ニュースの教科書
韓国
韓国大使館に電話でヒアリングしたところ、一般的な公務員の副業は許可されてるそうです。人員の補充は欠員ができた時だけに行われます。
一方で、釜山市では「公務員外部セミナー事前申告制度」があり、事前申告せず仕事中にセミナーで公演して摘発された事例もあります。
釜山市、仕事中の外部講演など副業公務員84人摘発(2014年6月13日)
仕事中に副業してるなら処罰されても当然かも。
副業禁止は各国の公務員のキャリア制度が影響
公務員の副業規定には、キャリア制度が大きく関わっています。
- クローズド・キャリア・システム(閉鎖型任用制;Closed Career System)
- オープン・キャリア・システム(開放型任用制;Open Career System)
があります。
クローズド・ドキャリア・システムは、日本やフランスの中央官僚人事や公務員などで採用されています。原則副業は認めないのが特徴です。
オープン・キャリア・システムは、アメリカ、イギリス、ドイツで採用されている人事システムです。民間企業から転職、もしくは公務員から民間企業への転職が頻繁に行われるのが特徴です。
参考:海外主要国における地方公務員採用制度について - 早稲田大学
副業を認めて労働生産性と社会の幸福度を高めよう
日本は、同一賃金同一労働の制度導入後、労働者の流動性を高める前の段階で、副業禁止規定の原則撤回をして、社会認識を大きく変化させる必要があります。
今年3月の財政諮問会議で、民間企業の会社員の副業や兼業を妨げる雇用保険のルールの見直しを民間議員が提言しました。
本来、労働契約を結んでいるので拘束時間以外は自由という、世界ではごく当たり前のことが、日本では副業する人間は、ズルいとか、職務に専念していないとか陰口を叩かれます。
しかし、世界に目を向けてみると、就業後は何をしても自由です。
国や企業は個人の自由な副業規制から開放して、自由に経済活動ができて初めて経済が活性化します。
別の仕事をもつことで、新しい刺激や発見があり、本業でもイノベーションが加速されます。
年功序列で昇給する時代は終焉しました。
その時代に戻ることはありません。
もとより沢山稼がないと、消費税増税、健康保険料、国民年金保険料などで可処分所得がどんどん減っていきます。
もっと豊で楽に暮らしたいと思う、私やあなたは、『自分のアタマ』を使って自力で稼ぐ能力を高めて、積極的に行動しましょう。
次の記事では、具体的にどんな収入を得ているのか見ていきます ↓
アメリカの副業規定は日本よりも遥かに自由
最後までお読み頂きありがとうございます!
次回もお楽しみに!
参考:
平成 25 年度産業経済研究委託事業(各国の働き方の実態からみた労働法制・雇用制度に関する調査)報告書
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