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社会の出来事を「なぜ?だから何なの?」の視点で探ります

補聴器買いに行ったら90万円の最高機種を奨められ狼狽

社会

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こんにちは、ピコシムです。

私は両耳の聞こえが悪いので、補聴器を使っています。そろそろ5年目で買い替え時期が来ました。

今から5年前、補聴器コーナーに行ったときの衝撃は忘れられません。

アキバヨドバシカメラの補聴器屋コーナーに行きました。

店員さんから、一発目から、両耳で90万円する補聴器を勧められました。

 

一瞬耳を疑い、狼狽しました。

桁が一つ多いじゃないですか。その値段、新車買えるから。いくらなんでも高過ぎでしょ!

しかも、全額自己負担じゃ普通の人買えなくない?と思わず心の声が出てしまいました。

 

当時、都内10店舗以上に補聴器探しの旅に出て、価格は片耳20万円が標準で、性能によって前後することを知り、2ヶ月後ようやく自分に合ったものを見つけました。

結果的に、両耳で12万5000円の型落ちデジタル補聴器を見つけましたが、知らない高齢者は90万円の補聴器を現金で買っちゃうでしょ。

 

★★★

 

WHO(世界保健機関)の推計では、世界人口のおよそ5%が聴覚障害を持っていると推定されています。3億6000万人は聴覚障害者です。

日本には推定で600万人の聴覚障害者がいると言われています。

しかし、障害者手帳が交付された聴覚障害者は、45万人(疫学上の0.3%)しかいません。 彼らは、補聴器を最大9割引きで(自治体ごとに負担率が変わる)購入することが出来ます。

しかし、私を含めた残りの550万人は全額自費で補聴器を購入しなければなりません。

 

この差は一体どこで出来たのか調べてみました。

 

難聴とは何か

聴覚障害とは、音の全て、もしくは一部をが聞こえない状態のことです。聴覚障害は、全く聞こえない人(聾唖)も含まれます。

日本では難聴というと、ほとんど音が聞こえず、手話で会話する人をイメージしますが、彼らはほんの一部の人です。聴覚障害者には、近くでやや大きな声で話すと聞こえる人も含まれます。

 

Wikipedia(英語版)には難聴の概要があります。

Hearing loss, also known as hearing impairment, is a partial or total inability to hear.

A deaf person has little to no hearing. Hearing loss may occur in one or both ears. In children hearing problems can affect the ability to learn language and in adults it can cause work related difficulties.

In some people, particularly older people, hearing loss can result in loneliness. Hearing loss can be temporary or permanent.

(抄訳)

難聴(聴覚障害)は、一部や全部を聴くことができない。

聴覚障害者は全く聞こえないことは少ない。

難聴は片耳か両耳に起きまる。

難聴は、小児では言語の学習能力に影響を与え、大人の難聴では仕事に関連する困難を引き起こします

特に高齢者の一部の人々で、難聴は孤立をもたらします。

難聴は一時的なものと、恒久的なものがあります。

Hearing loss - Wikipedia, the free encyclopedia

 

また、WHOの難聴のサマリー(概要)には、

360 million people worldwide have disabling hearing loss.

世界中の3億6000万人の人々は、聴覚障害で不自由にさせています。

Hearing loss may result from genetic causes, complications at birth, certain infectious diseases, chronic ear infections, the use of particular drugs, exposure to excessive noise and ageing.

難聴は遺伝的原因、出生時の合併症、特定の感染症、慢性耳の感染症、過度の騒音、老化、特定の薬物使用でさらされることに起因します。


Half of all cases of hearing loss are avoidable through primary prevention

半数の難聴の原因は、一次予防を通じて回避できます。


People with hearing loss can benefit from hearing aids, cochlear implants and other assistive devices; captioning and sign language; and other forms of educational and social support.

難聴の人々は、補聴器、人工内耳、他の補助装置、字幕、手話、他の教育の種類や社会支援から恩恵を受けることができます。


Current production of hearing aids meets less than 10% of global need.

今日の補聴器の生産は、世界に必要な10%未満しか満たしていません。

WHO | Deafness and hearing loss

とあり、世界の難聴者は社会的生活に大きなハンディキャップを背負っています。

なぜなら、補聴器は非常に高価だからです。

 

社会保障から外れた日本の550万人の聴覚障害者の存在

WHO(世界保健機関)では、聴覚障害者の定義は、良いほうの耳の聴力で

大人で、40デシベル以上

子どもで30デシベル以上

の聴力であることが条件になっています。

 

一方、厚生労働省による日本の聴覚障害者の定義は、

 大人、子ども 70デシベル以上

の聴力であることが障害者手帳が交付される条件となっています。

日本のほうが条件が厳しいのです。しかも、70デシベル以下の難聴者は、障害者手帳が交付されないので、障害者としてカウントされません。

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日本では550万人の聴覚障害者は、切り捨てられて存在しなっています。

WHOでは疫学上、人口の5%が聴覚障害があるとしていますが、日本の聴覚障害の定義に該当する人は疫学的0.3%しかいないことになっています。

 

難聴の度合いによって、聞こえる音の幅は変わってきます。

大体、中度難聴者以上になると、会話のキャッチボールができませんし、呼びかけられても気づかずスルーです。

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こうなると、当然仕事になりませんので、仕事を続けていくで人間関係は壊滅的、安定的な就業先を失って路頭に迷うまで時間はかかりませんでした。

あっという間に、社会から追い出されます。

やっと、聴力検査をしたら、私の場合、会話の音域が全く聞こえないことが分かりました。既に働き始めて2年が経っていました。

 

その時計測した聴力検査の結果。

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難聴の度合いによって、聞こえる音が変わってきます。私は、会話の音域が致命的に聞こえない中度難聴者なので、補聴器をつけないと仕事になりませんし、友人とも会話になりません。

聴力といっても、高い音域、低い音域、会話の音域に別れ、音の大きさが加わります。

それぞれ、聞こえる音、聞こえない音など難聴者によって様々です。

初めて補聴器をつけた時は、世界がこんなに騒がしいんだと、ちょっと感動しました。

 

http://www.widexjp.co.jp/deafness/what/images/level_img.jpg

出典:難聴の程度|ワイデックスがお届けする難聴と補聴器の総合サイト「みみから。」

 

日本では、4年前から、一部の自治体では18歳未満の軽中度難聴者に対して、自立支援法の適用で補聴器購入の公費負担が行われるようになりました。

これにより、子どもたちは言語発達の機会を得ることができるようになりました。ただし障害者手帳の交付はありませんので19歳になったら全額自己負担です。

一方、大人の場合、障害者手帳を持って、社会福祉制度によって補聴器の助成を受けるためには、両耳70dB以上か、片耳90dB以上、片側50dB以上でなければ高度難聴者として認められず、全額自費で購入するしかありません。

聴覚障害者として社会保障を受けるには日本が最も厳しい

日本では独自の尺度で軽度、中度、高度、重度に分類しています。

障害者手帳が交付されるのは70dB以上の高度難聴からです。残りの550万人は、日本の社会保障制度だと補聴器を付けるには100%自費で購入するしかありません。

注目すべきは、日本の高度難聴区分が、WHOやGBDと違うことです。10dB違うのでその分障害者手帳を交付しなくても良くなりました。

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出典:WHO Frequently asked questions(PDF) WHO,2010GDB

日本聴覚医学会 難聴対策委員会報告‐難聴(聴覚障害)の程度分類について‐ 日本

 

一方、WHO世界保健機関では、子どもは軽度難聴(30dB以上)大人は中度難聴(40dB以上)から補聴器を付けることを推奨しています。

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出典:WHO | Grades of hearing impairment

世界の補聴器補助制度

日本以外に目を向けると、おおよそ40デシベル以上の難聴者が、国や地方自治体から補聴器購入費用のサポート受けています。

カナダ

(州によって異なる)

ニューファンドランド・ラブラドール州

地方補聴器プログラム(Provincial Hearing Aid Program (PHAP))が18歳未満の補聴器購入費用を100%負担(電池代を除く)

 

プリンスエドワードアイランド州

補聴器が必要な21歳までの全ての子どもたちは補聴器を持つことが出来る。

メーカーから大西洋の州特殊教育局( APSEA )を介して、割引価格で提供される。

家族は地方の障害者のサポートを通じて資金と支援を申請が可能。

65歳以下の人は、50デシベル以上の聴力損失を持つ個人は、障害者のサポートにも適用することができます。補助資金は1500ドル以下、5年毎に補聴器を購入できる。

65歳以上の人は、50デシベル以上の聴力損失を持つ人は、社会支援を受けられる。

出典:Canadian Hard of Association CANADIAN HEARING AID SUBSIDIES AND WORKERS COMPENSATION

オーストラリア

補聴器購入に健康保険が適用できる。$200~1600(平均$700)を健康保険が適用される。また、補聴器購入によって税制優遇が受けられる。

イギリス

補聴器購入費用を医療費として公的に負担

NHS国民保健サービスが、補聴器販売従事者に費用を支払い、販売業者から補聴器ユーザーに補聴器が渡される。

主としてNHS(国家健康局) に申請して支給されるが,個人 で登録された販売店から購入す る事も出来る。子供、若年者は タイプに拘らず無料支給。

新潟青陵大学紀要 第7号  2007年3月 

 高齢者向けにも補聴器が支給されます。

高齢の約200万人が補聴器を持っていますが、その84%はNHSから支給されています。NHSで聴力検査の経費は49ポンド(訳注:1ポンド=約185円2016年2月15日現在)、補聴器の装着は294ポンド、左右の補聴器で388ポンドです。

http://www2f.biglobe.ne.jp/~boke/preventtx.html#20160214hl

 

フランス

軽度難聴から補聴器支給の対象。

EUの規格に適格でフランスの 国家規定に合致している限り、 補聴器の費用は国が補助する。 20歳迄で失明でありロウである 場合国が金額補償する。この条 件に該当しない場合260~400ユ ーロ(¥37000~¥57000) が支給される。

新潟青陵大学紀要 第7号  2007年3月

小児の場合900ユーロから1440ユーロが公費負担

http://www.acictmu.jp/2014Forum7-pdf/2014forum7-2-1.pdf

http://www.lawschool.tsukuba.ac.jp/pdf_kiyou/tlj-10/tlj-10.pdf

 

ドイツ

 2005年1月より全国一律に補聴器1台当たり421ユーロ(¥60,000)、

両耳の場合2台目337ユーロ(¥49,000)を支給。

新潟青陵大学紀要 第7号  2007年3月 

スウェーデン

地方自治体が運営する公的補聴システムがある。但し難聴者の取扱は地方によって異なる。
或る自治体は全費用を負担するが、他は一定額(340~400ユーロ)(¥47,600~56,000)を支給している。私的販売店もあるが、利用者はすべて自己負担となる。

新潟青陵大学紀要 第7号  2007年3月

 

日本

一部の自治体では18歳未満の軽中度難聴者の補聴器購入費を一部補助。

70dB以上の、片耳90dB以上で片耳が50db以上難聴者は、障害者手帳が給付されて補聴器購入の補助を最大9割受けられる。

その他の補聴器装着が必要な550万人は全額自己負担が必要。補聴器は非課税対象。

 

 日本では、高度難聴以上の人に対して、障害者手帳を交付して、各自治体が補聴器購入の助成をする仕組みになっています。

 

日本は難聴者の補助金購入を先進国水準引き上げよう

日本で身体障害者福祉法が施行されたのは、1950年(昭和25年)でした。あれから66年が経過し、国民の生活水準が大幅に向上しました。

しかし、聴覚障害として認める基準が、当時のままで、先進国の水準と比較すると大幅に劣っていることは問題です。

難聴者と認められない550万人は、4,5年おきに、ほとんどが欧州製の片耳2,30万円する補聴器を生涯購入し続けなければなりません。

特に、これから深刻化する高齢者の老人性難聴は、認知症の原因になることが懸念されています。

補聴器を支給したほうが介護するコストよりはるかに安いのは明らかです。

欧州では、学生も、労働者も、老人も補聴器の購入が補助されたり、現物支給されて、社会保障として根付いています。

 

難聴にまつわる痛ましい事件も起きています。

今年、北海道のイオンで4人が殺傷される無差別殺人事件がありました。

新聞配達員で生計を立て、実家に両親と同居していた犯人の男(30代)は、難聴が悪化して思い悩んでいました。精神疾患に陥り、「死刑になってもいい、人生を終わりにしたかったと供述しています。」

「死刑になりたい」また無差別殺傷 同世代で繰り返される共通の「動機」- 記事詳細|Infoseekニュース

 

一つ間違うと、自分も同じような境遇に立たせられると思うとゾッとします。

人生が無理ゲーだと悟ってしまうと、人間自暴自棄になってしまいます。

それは個人の問題なのでしょうか。

 

ヘレン・ケラーは、生前こう残しています。

Blindness cuts you off from things; deafness cuts you off from people.

目が見えないことは人と物を切り離す。

耳が聞こえないことは人と人を切り離す。

※イマヌエル・カント(ドイツの哲学者)の言葉をヘレン・ケラーが英訳し広まったもの

 

私は、例え補聴器の公費負担が無くても自力で稼ぎますが、

他の550万人の人が、聞こえることが当たり前な世の中になって、もっと住みやすい世界になって欲しいと強く思います。

どうか、このピコシムの願いが多くの人に拡散して、みなさんに届きますように。

 

id:picsim

最後までお読み頂きありがとうございました!

次回もお楽しみに!

 

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