こんにちは、ピコシムです。
前回の記事『自分の住んでいたアパートの隣人が腐乱遺体で発見された』は、4万人以上の人に読んでいただき、大変ありがとうございます。
今回は、集合住宅で腐乱遺体が見つかるまで、どういう経過をたどるのか私の実体験をまとめました。
東京都の資料によると、東京23区内では毎日10件の孤独死が発生しています。
もし、今日家に帰って嗅いだことのない変な臭がしていたとしたら、あなたの隣の部屋の人が、孤独死しているのかもしれません。
時系列
1日目 異臭を感じる。まだ何か分からない。
日数が経過するに連れて、遺体の腐敗液化したアンモニアと硫化水素が、床、壁等に染み渡る。死臭の原因が拡散。
9日目 警察へ連絡。遺体の搬出。 不動産屋への連絡。
基本的に入居者が発見者となる。半日立会う。不動産屋から大家へ連絡がいく。
9日目以降 不動産屋と交渉
宿泊施設への避難可否の確認
家財道具補償の可否の確認
新しい物件の紹介の可否、条件等の確認
不動産屋と交渉準備(1日)
不動産屋と交渉(2日)
16日目 転居
突然50万円出費。家財道具、衣類等に不足。精神的にも肉体的に多数ダメージあり。
搬出された遺体
夜中から未明にかけて、5名の警察官にご遺体の搬出をしていただき、何事もなかったように朝を迎えた。周辺住民はそのことを知る由もない。
しかし、既に液体化していた体液は、アパートの壁や床材まで染み込んでしまい、相変わらず死臭が部屋を立ち込めている。
もはや、ファブリーズを衣類にシュッシュしただけでは気休めにしかならない。
ため息をするための息をするのもためらう部屋の中で、茫然自失となった。
唯一の救いは、警察を呼ぶ前に自分で遺体を見つけなかったことだ。もし、遺体を見つけていたら、それだけでもショックなのに、殺人事件の容疑者として間違われて任意に事情聴取を受けたら、相当時間のロスになる。
不動産屋に連絡
物件を管理している不動産屋に連絡をした。隣の部屋の人が孤独死をしたので警察を呼んで処理してもらったと。 1週間以上前から、部屋が死臭まみれになっており、洗濯物家財、全て問題になっていることの事情を説明した。
この件を連絡すると、すぐに大家に連絡が行きました。
その後、不動産屋との交渉する内容は以下の通り。
- ホテル等の代替宿泊施設への避難ができるか(最重要)
- 他の物件への引っ越しが可能かどうか
- 家財道具補償は可能かどうか
孤独死の場合、物件の入居者の負担は多大
私の場合、ファーストコンタクトで不動産屋からの回答は、
- 死臭は火災保険は適用外
- 不動産屋からは死臭による被害は一切認められない。
- ホテル等への宿泊費は100%入居者負担。
- お見舞金、家財道具補償などは一切出せない。
- 転居は自社管轄の物件なら敷金礼金分は免除する
など、相当悪い条件であることが分かりました。
不動産屋への交渉は、単独で交渉にあたっても要求は飲んでもらえなさそう。
最悪、入居者は泣き寝入りになる可能性が高いです。
「じゃあお前があの臭い部屋に住めよ」と店の中でクレームを起こしても、申し訳ございません出来かねます。の一点張りで、しおらしい女性店員に軽くあしらわれて終了です。
これは手強そうということで作戦を立てました。
私が行った不動産屋との交渉準備
-
知人の業界関係者へ相談、孤独死等トラブルの際の業界の慣行例調査
-
不動産屋との交渉ストーリーの構築
-
複数の友人を動員して不動産屋と交渉
する段取りで行いました。
一般的な孤独死における利害関係者の把握
交渉をするのにステークホルダー(利害関係者)の把握は重要です。主に4者あるとします。
- 大家
- 不動産屋
- 遺族
- 入居者
大家の視点
大家さんは、突然の孤独死によって、部屋の再建に多額の費用を支払わなければなりません。
- 特殊清掃、オゾン脱臭
- 死亡した部屋のリフォーム
- 家賃の減額
- 入居者 のホテル等への一時避難
- 入居者へのお見舞金
など、ざっと見積もって数百万以上の出費になります。
遺族に請求すればいいのでは、と思いますが、
- 死亡した人の親族が行方不明のケースが多い
- 死亡した人の親族が経済的に困窮しているケースが多い
- 孤独死した人に現金化できる財産がない
など、大家さんにとっても大問題です。当然、なるべく費用をおさえたい!という感情になります。
その意向は不動産屋へ伝わりますので、
- 入居者へ孤独死があったことを伝えない
- ホテル等への避難はさせない(入居者100%負担にする)
- 見舞金は出さない
- 死去した部屋以外へのリフォーム、脱臭等の対策はしない(臭いまま)
不動産屋の視点
突然の孤独死によって、大家と入居者との調整、修繕計画と職人の手配などを行うのが、不動産屋の役目です。
- 大家の意向を元に修繕計画
- 現在の入居者には継続して入居してほしい
- とにかく入居者要望によるコストを削減したい
- 入居者とのトラブルをなるべく避けたい
- 物件や自社にとって孤独死の悪い噂の拡散を防ぎたい
今回は深夜に警察が来たため、他の入居者は孤独死のことを知りません
遺族の視点
今回のケースは、遺族がいたか不明ですが、もしいたら、
- 多額の修繕費用は支払いたくない
- 経済的に支払能力がない
- 相続放棄するという選択
が考えられます。家賃3万円台のアパートに入居している高齢者の場合、生活保護世帯の場合もあります。修繕費など親族からの支払が難しいそうです。
入居者の視点(私自身)
とにかく死臭をどうにかしてほしい、今まで通りの生活に戻したい。
- 一時避難できるの?
- 家財補償は?
- 転居の条件は?
ということで、まず家財などの死臭被害リスト化を行いました。
以下の家財道具に死臭がつきます。
- 家電製品(冷蔵庫、洗濯機、テレビ等)
- 家具(机、カーペット、寝具等)
- 衣類(衣服、靴、カバン等)
- 食器
- 食品(特に米、砂糖など臭いを吸うもの)
- 書物
- 建具(床材・壁材)
家財被害金額は30万円前後
引越費用 10万円
新居入居費用 10万円
推定被害額 50万円以上
まあ、とにかく大変なわけです。
不動産屋にファーストコンタクトをして、入居者が相当不利な状況にいるということがよ〜く分かりました。
死臭にまみれた部屋で更に生活してください。うちは知らんという態度を取られて正直もう何だかなという気持ちになりました。
東京都のデータによると孤独死の遺体発見まで男性で12日、女性で6日かかるそうです。
孤独死は誰にとっても不幸な結果になります。
隣の部屋から異臭がしたり、新聞が溜まっていたら孤独死の疑いがあります。不用意に自分で救助はせず、まずは、不動産屋か警察に連絡しましょう。
次回は、どのように不動産屋と交渉したのかについて迫ります。
最後までお読み頂きありがとうございました。
次回もお楽しみに。