こんにちは、ピコシムです。
今日のテーマはLPS細胞(Lipopolysaccharide, LPS)です。リポ多糖と呼ばれています。
世界一受けたい授業でLPS細胞が取り上げられましたが、ネット上で疑惑が噴出しました。
そこで、「なぜLPS細胞効果が疑似科学としての疑惑を持たれたか」調べてみました。
「健康」は誰もが興味関心を持つテーマです。
2015年の健康器具の市場規模は2300億円、健康食品の市場規模は1兆6000億円になります。
一方で、科学的根拠が証明されてない効果を売りにした商品が市場に溢れています。
これらは、時代によって商品を変えて、
テレビをはじめとするメディアで多くの人に拡散させています。
今回、日本テレビの世界一受けたい授業で「LPS細胞の効果」が
- がん細胞
- アトピー
- 認知症
に効くということが放送されました。
しかし、番組内で科学的根拠が一切出てきていないのではと、一部の専門知識のある人たちが、ネット上で声を上げたことが疑惑の発端になりました。
では、過去にはどのような疑似科学があったか振り返ります。
科学的根拠が証明されない効果
-
マイナスイオン効果
「マイナスイオン」というものの実態はいまだに不明瞭であり、健康効果においては作用機序が無秩序に乱立しており、(医学的土俵に乗せると)科学性を論じる水準ですらない。少なくとも現時点では、「マイナスイオン」に批判的な研究の方が遥かに信頼がおけ(15)(16)(17)、言説全体において疑似科学であると評定できる。
実際に産業界でも、景品表示法違反(誇大広告)で大問題になりました。
マイナスイオンを謳った商品の実態−消費者及び事業者へのアンケート、学識経験者の意見を踏まえて−(発表情報)_国民生活センター
- ゲルマニウム効果
ゲルマニウムブレスレットなどの外用ゲルマニウム製品の根拠としている理論自体が“根拠にならない”ことは明白であり、従って、科学的な研究と謳っているものについても自ずと懐疑的な見方をせざるを得ない。
こちらも業界で返品騒ぎになり販売中止になりました。
全文表示 | ゲルマニウムに「科学的根拠なし」 販売中止、返品検討で業界大騒ぎ : J-CASTニュース
その他にも、
- デトックス効果
デトックスが何を意味しているのか?という定義づけが(少なくとも学術的には)されておらず、用語として全く不明瞭な状態で、科学的な説明に見せかけた根拠のない説明も多いため疑似科学と判断する。
- ヒアルロン酸の経口摂取(口から飲み込む)効果
現時点で、ヒトへの有効性について信頼のおける研究データはない。有効性があるとしている研究においては、かなりの面を主観に頼っている(たとえば、対象者が未病であるにもかかわらず“自覚症状”が減少したといったもの)、言説の利害関係者が研究の中心に位置しているなど問題点を挙げればきりがないのが実態だ。
- 磁気による効果(シール・ネックレス)
効果があるという論文は存在するものの、多くは質の低い論文にとどまり、科学的な根拠として十分ではない。効果を否定する論文も限定的であり、徹底的な研究に発展する兆しがまだない。客観的な効果の評価は未科学だが、現時点で「効果がある」ことをコリ軽減以上の病態や疾患に対して積極的に主張するのならば疑似科学と呼んでもいいだろう。
などがあります。
詳しくは、明治大学科学コミュニケーション研究所から評価が出ています。
健康食品や健康器具の効果は、難解な専門用語が並べられていて、何となく、効果があるんじゃないかと信じてしまう人が多いのが実情です。
また、
- ○○大学の教授が研究していたから大丈夫
- 有名人がつけてたから良さそう
と、何も疑問に思わないと危険です。
ちょっと科学的知識があれば、おかしいぞと思ったり、論文を調べたりできます。
しかし、「LPS細胞」のような新しい情報に対して判断することは、その道の専門でもないと難しいことが多いのが現状です。
今回、ツイッターや、はてなブックマークで賑わった「LPS細胞」の話題についても疑惑が持ち上がっています。
番組ではLPS細胞を食物から摂取することによって「がん細胞、アトピー、認知症」などが改善するという内容でした。ヨーグルトを食べると更に効果が上がるというものです。
番組内のLPS体操は皮膚を刺激するだけで、体内にいないLPS細胞を増やすという非理論性がtwitter上で指摘されていました。
LPSでガン発症のリスクが低くなる、と報じられましたが具体的な臨床結果は一切出てきていません。このとき説明に使われた写真は下記の部分の左上の写真を拡大しただけですので、ただのイメージです。
私は、医学、生物系の専門じゃないので、LPE細胞効果問題の何が論点かを評価ができないので、
この場合は、専門知識のある第三者の評価を参考にするとします。
医師国対キロクさんが、LPS細胞の特徴をまとめたものによると、
・LPSは大腸菌に代表されるグラム陰性菌という菌の表面をつくってる物質のこと。
・血中に直接入っちゃうとやばいよ。
・大腸菌の表面構造もLPSだから、うんこの中にたくさんあるよ。
LPS細胞???免疫ビタミン???? - 医師国対キロク
この話からだと、LPSをあえて食物摂取する必要やヨーグルトを食べる必要は感じられません。
ではなぜ、注目されているのか!?
どうも、この先生の研究が企業との産学連携ビジネスの1つになっていて、宣伝されているらしいことは分かりました。金芽米とも何か関係があるようです。
しかし、医大生はLPS細胞による効果について
ぺーぺーの医学生でもならうことなので、そんなにえらい内容でもないです。
科学的考証をやるBPO的なものって必要じゃない?
まったく微生物とか知らなかったら、大学関係者にいわれたら何でも信じちゃいそうだよな。
メディアがそれでいいのかっていう疑問はあるけど。
LPS細胞???免疫ビタミン???? - 医師国対キロク
と、かなり懐疑的のようです。
メディアのあり方について、科学的考証をBPOのような組織で検証すべきと提言しています。
他にも、生物系、医学系と思われる専門性を持った方から疑問の声が上がっています。
ちょい待て、LPSを食品に含まれる成分って説明しとんのか?
— Y Tambe (@y_tambe) 2016年2月20日
ただしこれは直接、血液に入った場合であって、食べても普通は何も起きない。つーか、元々、我々の腸内にはグラム陽性菌もグラム陰性菌もいっぱいいるので、外から採ってどう変わるというものでもない。
— Y Tambe (@y_tambe) 2016年2月20日
LPS(リポポリサッカライド、リポ多糖)は、グラム陰性菌と呼ばれるタイプの細菌の、細胞壁に含まれてる成分で、別名をエンドトキシン(内毒素)という細菌毒素。血中に混入すると発熱や全身性の発疹、ひどい場合はショック症状を起こして死に至る、そんな毒素。
— Y Tambe (@y_tambe) 2016年2月20日
トンデモさん達は「免疫」がお好き。こういう授業は「代返」でバイトでもしといた方がいい
— io302 (@io302) 2016年2月20日
【世界一受けたい授業】LPSが免疫力をアップさせる!免疫ビタミンでインフルエンザ予防!【ガン・アルツハイマー】https://t.co/qh0b64LbG1
という声があります。twitterでコメントしている人たちは、生物系や医学系の大学生、大学院生、もしくは専門的な知識がある方のようですので、一応参考にしています。
つまり、
何が問題かというと、LPS細胞の効果が、科学的に正しいのか不明瞭で、広く認知されている想定される効果と違うため、疑似科学として疑いが持たれたということです。
理系の論文を書いた人なら想像付くのですが、
-
作用や効果の定義が明確か
-
効果の作用順序に理論性があるか
-
実証的効果を示すデータがあるか(客観的か、再現性はあるか)
- データと理論は一致しているか(データ収集は適切か、効果予測は可能か)
- テーマに対し広く議論されているか
ということが、番組内でどれだけ明示されたかが問題です。
その情報があまりに乏しいため判断が出来ませんでした。
通常、LPS細胞の効果が正しく、社会的にインパクトのある発見だとしたら、ips細胞同様に、研究する科学者は多いはずですが、
現時点では、先生の著書
杣源一郎『「免疫ビタミン」のすごい力 ~ガンも認知症も寄せつけない~』
は、2015年12月に出たばかりで、まだ、議論が始まってないので今後は利害関係のない第三者の専門家の検証が必要ではないでしょうか。
関連する査読付き論文はいくつか出ていますが、LPS細胞の効果が、他の科学者によって検証されていく中で、市民権を得て認知度が高まり、科学的に証明できるものか、もしくは疑似科学として認定されるか決まるでしょう。
一方で、現状では私を含め一般人にはLPS細胞がグレーなのか黒なのか結論が分からないのです。
もし効果が実証されればすごい発見ですが、現段階では判断を保留します。
ちなみに、3月5日の世界一受けたい授業では「水素水」がテーマのようです。
明治大学の研究所のサイトで予習しておくと、水素水の信憑性が科学界でどう評価されているか分かりますのでオススメです。
活性水素水・(電解還元水) | 疑似科学とされるものの科学性評定サイト
世界一受けたい授業は私も好きな番組の一つなので、「あるある大辞典」のようになってほしくないと願うばかりです。
次回は、「信じた人が救われる!?プラシーボ効果」です。
最後までお読み頂きありがとうございます!
次回もお楽しみに!
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