はてなブログで「保育園落ちた日本死ね!!!」が2000ブックマーク超えをして、テレビ・新聞・ネットなどメディアに拡散して流行りました。
現在国会では、保育士報酬問題や保育所建設問題について取り上げられ、厚生労働省が主体となって改革に乗り出しています。
このような社会問題は、
過去にも時代ごとに発生して、国民的話題となって解決されてきました。
2015年4月にスタートしたTBSの上田晋也のニッポンの過去問は、日本が社会問題をどのように解決したかに焦点を当てていて、非常に興味深い番組です。
ピコシムはバブル期前に生まれたので、それ以前のことは歴史上の出来事ですので、そんなことがあったんだ!こんな風に解決したんだ!と、とても勉強になります。
今では解決されていて話題にもならない、
- 「東京ごみ問題」「大気汚染問題」などの公害問題
- 「オイルショック後の省エネ」「バブル期の爆買」などの経済の浮沈による出来事
- 「公共交通機関の事故と対策」
- 「国内過激派のテロ事件と対策」
など、
へー、そうだったんだ!
日本も昔はヤバかったけど、こうやって解決したんだ
と、勉強になるとても面白い番組です。
- なぜ社会問題になったのか?
- 事件や事故、社会問題の背景は何か?
- 誰がどうやって問題を解決したのか?
を考えると、
問題発生の背景と解決までのプロセスを知識ベースで知ることができます。
そうすると、
過去の失敗が現在の社会に生かされているのか、制度が形骸化して歴史が繰り返されそうなのか予想ができます。
これってすべて、↓のような図で考えられます。
現代社会は「制度疲労、価値観の陳腐化(D)」のフェーズから「社会問題化(A)」の矢印①のフェーズに進んでいるトピックがたくさんあります。保育所問題や長時間労働などがそれにあたります。
一方で、過去の社会問題がどのように法制度化されて(矢印②)どのように定着したか(矢印③)を見ていくと、俯瞰的に現代社会の問題についても考えられます。
では、過去の社会問題はどのように解決したのかざっくり見てみましょう。
社会問題が価値観の変化や技術革新によって解決
東日本大震災ネットでTV報道番組の同時放送(2011年)
つい最近も熊本で大地震がありました。
NHK・民法で報道番組をネットでサイマル放送できるようになったのは、東日本大震災からでした。今では災害時は当たり前にネット放送を視聴できるようになりましたし、一部の番組は1週間無料で見れるTverもはじまりました。
クールビズの普及(2005年~)
今では当たり前になったクールビズの普及はちょうど10年前に当時の小泉総理の指示で始まりました。もし、クールビズがこのとき普及していなければ、今年もスーツを着てネクタイを締めたとても暑い夏を過ごしたことでしょう。
(クールビズ普及率 2005年 42%→2015年 75%)
2005年に小泉元総理がクールビズを指示
環境省をはじめとする官公庁が取り組みを、新聞・テレビで毎日報道
大企業・チェーンストアなどで徐々に普及
→CO2削減・地球温暖化防止の建前の下、サラリーマンは暑い夏に脱スーツ、脱ネクタイの恩恵を受けました
喫煙社会から分煙・禁煙社会へ(1980年~)
かつては飛行機の中や電車の中でも喫煙できていましたが、現在は喫煙所以外での喫煙はマナー違反として注意されることが当たり前になりました。
(喫煙率 1966年 49%→2015年 20%)
1980年嫌煙訴訟
1993年首都圏JR主要駅のホーム終日禁煙
2002年健康増進法施行(公共施設、商業施設での分煙化)
分煙問題、禁煙問題で新聞・テレビなどで継続的に報道
→健康増進を掲げ医療費削減する建前の下、財務省はたばこ税の増税に成功し、職場、公共施設での分煙化が実現、喫煙者のマナーが向上しました
この他にも、
- ごみゼロ運動によるごみ処理問題と環境美化(1975年~2000年代)
(全国の1日あたりのゴミ処理能力 1979年 11万トン→ 2009年17万トン)
1975年に愛知県豊田市の活動が全国に拡大し街の環境美化が進む
1991年の廃棄物処理法の改正
新聞・テレビなどで継続的に報道
→環境問題を国民に意識させ、小学生のうちから環境教育を行い、ポイ捨て禁止やゴミの分別収集などマナーの向上に成功し、街の環境美化が図られた -
オイルショック後の省エネの普及(1970年~80年代)
(原油供給量 1973年 100% →2011年 72%)
1970年代=中東戦争による原油価格高騰
新聞・テレビなどで大々的に報道
→国家石油備蓄基地を建設、エネルギー効率を高めた製品の開発、国民の省エネ意識の向上、エネルギーの浪費は悪という価値観が定着 -
公共事業の計画策定・用地買収プロセスの変更(2000年代)
成田空港建設問題が社会問題化 1960年代~1980年代
新聞・テレビなどで住民と過激派VS機動隊の攻防が連日報道される
行政主導の計画策定から住民参加型へ=成田空港建設問題の反省
→行政が住民意見を無視する強権的な手法を止めて、計画策定時から地域住民との話し合いを重視し、工事着工後はスムーズに建設できるようにする
これらはすべて過去の社会問題としてクローズアップされて解決されてきました。
一方で、
国内では解決されたけど、海外で問題になっている社会問題
- 過激派によるテロ事件(日本赤軍、オウム真理教など→イスラム過激派)
- 大気汚染、水質汚濁、土壌汚染などの公害問題 (日本全国→中国、東南アジア)
少しマシになったけど解決されていない問題
- 大都市の通勤ラッシュ問題
(混雑率 1975年 221%→2013年165% 東京圏)
→新線建設、地下鉄新設、他社線乗り入れ、車両の改良・増設、複々線化、高架化
など、まだ未解決の問題は沢山残っていますが、解決に向けて時間をかけて取り組んでいるものもあります。
一方で、
「そんなこと言ったって、現状なんて変わるわけ無いじゃん!」という反論が出てきそうです。
だって、
- サービス残業はなくならないし
- 長時間労働は相変わらず続いているし
- 俺らの給料は増えないし
- 子どもを沢山産めと言っているのに、保育所は足りないし
- 介護される人はどんどん増えるし
- 原発事故だってまたどっかで起きるかも知れないし、福島原発の事故処理は数十年先!
などと、
考えたってムダ!と出来ない理由を100個ぐらい出されて批判を受けそうです。
現実主義者の方々は、現実の状況をよく理解しているので、「問題がなぜ解決しないのか」をよくご存知です。
新たな社会問題として浮上している例として
- 待機児童の増加+保育所建設反対問題
- 正規社員と非正規社員の待遇格差
- 長時間労働+サービス残業問題
- 子育てと介護問題
- 子どもの貧困
- 原発事故の処理問題+原発再稼働問題
- 集団自衛権+憲法改正問題 etc...
など、多くの社会問題が山積しています。
これらは、古くて新しい社会問題です。
例えば、
待機児童の増加と保育所建設反対問題は、「成田空港建設問題」と同じように、社会インフラ(保育所)が不足して社会問題化しました。
期限までに保育所を建設するために、住民と十分な話し合いができなかったり、建設予定地の住民の理解が進まなかったことが原因で、保育所建設が進まず「社会問題化」しました。
はてなブログで有名になった、「保育園落ちた日本死ね!!!」はメディアに拡散し、
その結果、多くの人がなぜ保育所が増えないのか真剣に考える機運が高まり、長年棚上げしていた保育士の低賃金の現状の制度改正をする動きになりました。
低賃金で働く介護施設も同様に国の介護士への報酬基準を見直し始めました。
これらは、過去に起きた他の社会問題同様です。
また、いま国会で審議されている、
正規社員と非正規社員の待遇格差は、明治4年まで続いた身分制度と同様に、差別されている側が、不利益を受けている点では同じ歴史と辿っているといえます。
これも解決に向けて着実に進んでいます。
2016年5月末には、国会で労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の3法の改正によって、同一労働同一賃金が可決される見込みで、2019年度の施行に向けて国会審議が進んでいます。
長時間労働とサービス残業問題も同様に、社会的なキャンペーンによって改善が進むでしょう。
社会問題を解決するための3つのポイント
- 問題(情報)をブログで発信する
- はてなブログをブックマークする、拡散させる
- 新聞やテレビ、ネット、雑誌で取り上げられて拡散
こうすることで、多くの人が問題意識を持ち、代議士が社会問題化として議会に問いかけます。
こうして変革へのサイクルが回りだして、連日報道されて世の中の関心が高まり、遂に法制度が改正されます。
日本の場合はトップダウン型で変化することが多いです。
そして、
日本人の行動特性である
- 「みんながやっているから自分もやる」
- 「法律が変わったので守る」
をうまく活かすことで、多くの人が価値観を転換させて行動できるようになります。
かつて、国民の当たり前だと思い込んでいた古い価値観が徐々に変化していきます。
過去に社会問題となった失敗は沢山あります。
失敗事例の知識化は人類の進歩と欠かせません。
科学技術の分野では「失敗百選」というデータベースが作られています。
もし、科学技術以外の分野でも失敗百選があったらいいかも。
- 政治失敗百選
- 政策失敗百選
- 企業組織マネジメント失敗百選
- 学校組織失敗百選
などがあったら、社会問題として失敗知識データベース化できそうですね。
社会問題は知識化してシェアすることで、よりよい未来を創れるでしょう。
最後までお読み頂きありがとうございます!
次回もお楽しみに!
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