ベストエフォート(理論値)が許される通信業界 が、はてなブックマークで賛否両論でています。
- 専用線を使えばいいだろ
- 環境変数が多いから速度が遅くなるのは仕方ない
というコメントを、ネットワークに相当知識がありそうな方から頂きました。
一方で、
- 車の燃費とネット回線の帯域の奪い合いを比較するのは違う気が。
まあ、(通信業界が)健全ではないと思うけどね
という意見もありました。
それらを踏まえて、今回は「光回線の技術的な構造と高速通信の阻害要素」を考えていきます。
「概ね1Gbpsという表記」は正しいのか
光回線の構造の概要
フレッツ光を例に設備の構造を見ていきます。
光回線は1芯(1Gbps)が最大32の回線終端装置(ONU)とつながっています。
最初に、NTT局内スプリッタで1つの回線を4分岐しており、自宅前の電柱で8分岐させています。
すると1Gbpsを32分割するので、全部の光回線が利用されていると、1回線あたり理論上31.25Mbpsになります。
もし、自宅内で無線LANを使ってPC、スマホ、タブレットの、3つの通信機器で一斉に通信をしたら、1つあたりの速度は理論上10.41Mbpsとなります。
マンションのような集合住宅では、局外スプリッタから出た1本の回線を複数に分岐させて使います。もし、マンションで12回線利用者がいて全員回線を使っていたら、マンションの光回線速度は理論上2.6Mbpsになります。
光回線の販売するときの概ね1Gbpsという高速通信は、1芯32回線を誰も契約していないか、誰も通信をしていない状態で、帯域が全て空いていたときに回線終端装置に到達するときの通信速度のことです。
ちなみに、概ねという意味は、
おお‐むね〔おほ‐〕【大旨/▽概ね】
[名]だいたいの趣旨。あらまし。「―は了承した」
[副](概ね)その状態が大部分を占めるさま。だいたい。おおよそ。「会員は―女性だ」
ですので、光回線を利用するユーザーの大半が1Gbpsの高速通信を利用できるような意味として、一般のユーザーは当然に解釈します。
正しくは、
- 光回線速度はごく稀に1Gbpsに近い値がでます。
- 回線終末装置の通信速度は中央値が概ね◯◯Mbpsです。
が日本語として正しいです。
概ね1GBpsは一般的には明らかに誇大広告の禁止に抵触するでしょう
正しくサービスを表記しなければなりませんし、勝手に期待した契約者が悪いというのは 詐欺ですよね。
例えば、食品では誇大広告は禁止されています。
誇大広告の禁止(食品) 消費者庁
- 実証されていない効果をほのめかす広告等
- 虚偽誇大(うそや消費者に誤認させるような表示)
他にも、1Gbpsを出す条件は、下の図のように宅内外の通信設備が高速通信に対応しているか、宅内外設備の障害発生がなく正常に動いているかなど、全ての条件に当てはまった時の理論的な最高速度です。
問題は、契約時に自分の利用する回線がどのぐらい帯域が混雑しているかが全く分からないにも関わらず、販売代理店のスタッフが「光は1ギガなので早いですよ!」と言って売り込んでいる場合が多々あることです。局外スプリッタの使用率なんて顧客には分かりません。
もし、消費者が通信技術の知識を消費者が持って、納得した上で消費者が契約しているなら光回線 詐欺で85万件ものgoogle検索結果が出るわけ無いと思いますが。かなり問題ではないでしょうか。
じゃあどうすればよいか?
- 実測値表示をする(平常時、混雑時、閑散時と時間帯)
(モバイル通信会社では総務省が実測表示を要請しました) - 著しく契約時の説明と通信速度に相違がある場合は、無償解約できるようにする
- 解約料有料補償オプションを作り、万が一速度が原因で解約の場合は無償解約とする
ゆくゆくは光回線速度が今よりも10倍になるらしいという話が昔ありましたが↓
NTTが「光」挽回へ 速度10倍の新装置、来年度にも実用化 :日本経済新聞
どうも設備投資に巨額の費用がかかるので、その後のサービス展開がみられません。
暫くは契約者であるエンドユーザーが自己防衛するか、国民生活センターの188に電話で相談して個別対処していく状態が続きそうです。
最後までお読み頂きありがとうございます!
次回もお楽しみに!