こんにちは、ピコシムです。
私は、数年間通信業界で百数十店舗以上店をまわって、お客様に店内の商品やサービスを訴求する仕事をしていました。
大きな駅や都心にあるお店は、だいたい殺伐としています。
様々なお客さんが来ますし、急いでいる人も多く、凄い剣幕で怒鳴り散らすお客もいて、働く人達はストレスフルなのです。
しかし、そんな中でも店長さんの方針によって店内の雰囲気は大きく変わります。
私が百十数店舗以上行った中で、素晴らしい店長とスタッフが揃ってると感動しました。
障害者でも店頭で仕事をしている
数年前、ある店舗に行ってきました。
そこは業界の中では積極的に障害者雇用をしていて、偶然私が行くことになった店舗で、一人の知的障害者の男性が働いていました。
その店舗はターミナル駅前にあり、開店から閉店まで来客数が多いにも関わらず、とても印象が良く、スタッフの雰囲気の良さや優しさを感じました。
知的障害を持っていても、清掃係という腕章をつけてパリッとしたスーツ姿で黙々と店内で展示品を綺麗に磨いたり、曲がっている椅子を直して、黙々と自分の役割を遂行していました。
他の店員さんは彼に対して特別何か気を使っている感じもなく、手垢で汚れた展示品を丁寧に磨いてくれているので、とても助かっているようでした。
自分の強みを活かしたオペレーション
店内は、インカムというトランシーバーで常にコンタクトを取って、在庫の確認やお客様の案内窓口で誰が対応できるか、支払いか、契約状況の変更か、機種の購入手続きか、故障などの技術的なトラブルかで、どのスタッフが対応するかのオペレーションが最適化されていました。
決して誰か一人に負担がかかるようなオペレーションではなく、10数人いる店員が、自分のスキルを認識していて、役割分担がしっかりしいる印象でした。
リーダーによって変わる店内の雰囲気
いろいろな店を巡回していると、
- 目標達成値だけを出して、仕事のやりかたはお任せする店
- 銀行窓口みたいな細部までやり方がかっちりしている店
- 常に店内が混雑していて、フロアや窓口業務のスタッフが休憩が取れず疲弊している店
- 発券機の前のフロアマネージャー(司令塔)がテンパっていて、スタッフに対してあたりが強い店
- 来客が全くなくて、ひたすらフロアの店員がずっと立っている店
- 店長が常にイライラしていて、スタッフが上司に怒られないかビクビクしている店
- ヘルプで派遣されて来た人に酷い扱いをして、こんな事も知らないのか、何しに来たんだ、もうお帰っていいよと追い出すお店
- スタッフ一人一人に営業成績表をつけて、達成が困難なノルマを課している店
など、様々でした。
雰囲気が悪い店舗は店長に何かしらの問題
私が行った中で一番凄く働きくかった店舗は、土日にしか入らないアルバイト店員をスタッフ同士がインカムで苛めている店舗でした。スタッフ同士が特定の店員の悪口をインカムで言い合うので全員に筒抜けです。しかし、店長な何も注意もせず笑っていました。管理者としてマネジメントがあまりにも問題がありました。
そういうところは、どうしてもスタッフ同士の協力がなく、店内の清掃が行き届かず、
お客用のトイレは常に汚れたままで、売場はホコリの塊がコロコロと床を転がり、休憩室が長テーブルと壊れたパイプ椅子しかなく、タバコの煙で壁が天井がヤニで黄色く覆われていました。
休憩室の蛍光灯は節電で全て消されて、窓から鉄格子の隙間を通った太陽の光が、汚れた床に長い影を映し出す荒涼とした景色でした。
離職率も高いため、常に採用広告を出し続けています。
チームワークがないとストレスで組織のパフォーマンスが下がる
その企業は個人の売上が給与査定に大きく影響する制度を採用していました。そのため、同じ売場のスタッフ同士で連携プレーが取れません。売上を他のスタッフが取るとバックヤードで喧嘩になり、メーカーから派遣された店員やアルバイト店員、派遣できているヘルパーのパワハラやイジメが横行していました。
この企業は大量出店で業界上位に入りましたが、近年大量閉店に至りなりました。
働きやすい会社の共通点
私が一番働き易いなと思う店の共通点は、
店長が大きな方針だけを提示し、いちいち売場でスタッフに指示を出さず、かつ客前に出てることなく、ひたすらバックルームにいて別の仕事をしている店舗です。
よほど酷いクレームがない限りは、自分で窓口に立つことはありません。
自分で最前線に出て働かない店長は、スタッフの教育やマネジメントをしっかりしている優秀な店長です。
チームで動き裁量が与えられている
フロアのスタッフは自分の役回りを認識して、チームで動いています。店長の次のポストの人が、フロアマネージャーになり、一番入口に近いところでインカムで司令を出します。
窓口スタッフが状況に司令に基づいて顧客応対します。窓口スタッフや、フロアスタッフはカウンターで自分の仕事をしつつ、店舗全体の状況をこま目に確認して、窓口対応をスムーズに行っています。
こういう店舗はスタッフの教育や研修が非常にうまく行っているなという感じがありました。
情報の共有化とフォロー体制
また、自分が出来ないこと、分からないこと、判断に迷っていることは常に店内のスタッフにインカムで共有され、分かる人がすぐに教える。決して問題を一人で抱え込まず、チームで対応していました。
知識は共有されナレッジベースとなり、既存スタッフのスキルが向上するだけでなく、新人スタッフのフォローが丁寧で、離職が少ないためスタッフの充足に不足がなく、個人の仕事量は他の店舗より均衡化していました。
なかなか、ここまで徹底して出来ている店舗は無かったので驚きました。
働いている人が働きやすい職場は合理的
そのような、働きやすい環境ではスタッフの顔色が新人さんからベテラン社員までとても明るいのです。
心の余裕もあるので、自分で何をしたらいいか全体を見渡して動いています。
当然スタッフの生産性も高く、時間のかかる機器の操作案内はフロアで応対して、窓口で行わない。
結果、お客の待ち時間は少なくなり、窓口スタッフの負担を減らします。
休憩時間はしっかり休み、客が引く時間帯はバックルームに戻って息抜きができる。
オンオフがはっきりしているので、1日が終わった後の疲労感があまりなく合理的なオペレーションだと感じました。
なぜ障害者雇用が職場の人間関係を優しくするのか
- その人の身体的特性を把握して、仕事のやり方を「カイゼン」している
- 身体的特性はあって当たり前なので、「出来て当たり前」ではなく、「できる方法で仕事をしてもらう
これって、子育て世代の女性や介護が必要な時間制限のあるスタッフにも適用できます。
- 職場にいることのできる時間が限られている
- 突発てきな家族の体調不良などで休まなければならない
このような家庭的事情を抱えていても
- スタッフの誰が抜けてもフォローできる業務体制がある
- 家庭的な事情で突発的な休暇、遅刻、早退でもそれが当たり前な職場環境でスタフ間の人間関係が悪化しない
ことで長く働いてもらえることが、企業にとってもコストを抑えて安定的なサービスの質を維持できるメリットがあります。
会社の都合に働く人が合わせていた時代から、働く人の都合に会社が合わせる時代にシフトせざるを得ない時代になったので、経営者が時代の潮流を理解して組織体制を見直すことが、会社も労働者も社会も皆幸せになりそうです。
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