こんにちは、ピコシムです。
私たちは、何か問題が起きたとき、人のせいや、何かのせいに責任を転嫁することを、無責任だと教育されてきました。
日本人は、『自分自身の非や誤りを認めること』を美徳とする価値観を持つ人種です。
『自分の失敗を、他の誰かや何かのせいにする他責感情』を、多くの日本人は猛烈に嫌悪感を持ちます。
失敗は自分のせいではないと発言した人は、非人道的なぐらい陰口を叩かれ、ネットで非難されます。
だから、私たちは両親や学校の先生から、
- 自分の行動に責任を持つこと
- 仕事に責任を持って取り組むこと
は、大切なことだと幼い頃から刷り込まれてきました。
閉鎖的なムラ社会で生きていくための必要なスキルだからです。
ところが、そんな考えを持っていたがために苦しむ人たちもいます。
ADHD(注意欠陥多動性障害)などの発達障害を持つ人は、脳の機能が正しく働いていません。
正しく動いていないので、様々な問題が起きます。
集中力が無くなって、
ミスを連発したり、
会話の間が読めなくなったり、
人の話を聞いてないように見られたり、
など、問題が発生します。
ADHDの原因は脳のせい!どんどん脳のせいにしよう!
感情の原因は脳にあります。
記憶力が良いのも悪いのも脳のせい。
言葉を正しく理解ができないのは脳のせい。
空気が読めないのは脳のせい。
衝動的に動いてしまうのも脳のせい。
不注意が起きるのも脳のせい。
そわそわ動いてしまう多動も脳のせい。
特定のものに激しく興味をもつのも脳のせい。
時間に遅れたり、約束を破ってしまうのも脳のせい。
全部、脳のせいです。あなたも私も悪くありません。
これを聞いたら、何と自己中心的で性格の悪いやつだと思うでしょうが、全く問題がありません。
最近は脳の働きを可視化出来るようになりました。
例えば、脳の血流量を調べると、通常の人の脳とADHDの脳では大いに異なります。
出典:Healthy VS Unhealthy | Daniel G. Amen, MD | Amen Clinics
でも、正しく治療すれば、脳は下の画像のように正常な人の脳になります。
ADHDの少女の脳(左)治療前 (右)治療後
出典:精神病を脳スキャンから診断 トラウマで脳は損傷する - ログミー
興味のある方は以前の記事をご覧ください。
最近は脳の働きを可視化出来るようになりました。
脳機能が通常と違う働きをしている場合は、発達障害と診断されて早期の対策が可能になります。
ASD(自閉症スペクトラム障害)は、発達障害の一つで社会性やコミュニケーションの能力に障害があります。彼らの脳にも同様の特徴があります。
脳に問題を転嫁することのメリット
1.気持ちが楽になる
自分のせいじゃなかったんだと、自分を責めることを辞められる。
ADHDの人や、アスペルガー症候群の人、その他脳機能に障害のある人は、幼い頃から人より不器用だったり、問題を起こしてきたため、劣等感がとてもあります。
大人になって仕事をし始めると、ミスの連発で上司、同僚、取引先などあらゆる人間関係に問題を起こし、叱責され、白い目で見られて、自己嫌悪に陥ります。
2.深刻に考えないほどパフォーマンスが上がる
もっと頑張らないと!と、真剣に取り組むほどパフォーマンスが落ちます。
ADHDの人の場合、前頭葉の血流が低下するからです。
適当にリラックスして取り組むほどパフォーマンスが向上します。
脳のせいに出来る2つの条件
1.原因がはっきり分かっている
ADHD(注意欠陥多動性障害)であると診断されて、脳が正しく動いていないことが明らか。
→原因をはっきりさせるために、まずは心療内科に行きましょう。
2.薬によって対処できること
薬(ストラテラ、コンサータなど)によって脳の機能が改善できる。
→薬を処方してもらうために、医師にありのまま伝えましょう。
薬をのむ前と飲んだ後では明らかに気持ちに違いがあります。ダルい、面倒、何もしたくないというマイナスの感情が消えて、行動的になります。
人の感情は脳の物理現象ですから、同じ脳に機能障害をもっている全ての障害にあてはまります。これは、ADHDに限ったことではありません。
例えば、チック症は、突然意図せず声が出たり、単語を連呼したりします。脳の機能が正しく働いていないことが原因です。
うつ病の原因は脳の血流量低下
うつ病の人も同じです。うつ状態になると脳の特定の場所の血流量が低下します。
正常な脳の動作に必要な脳内物質が、正しく出てこないために「やる気」が湧いてこなかったり、「何をしても楽しいと感じなくなる」症状が出ます。
下の図1aは、うつ病期の血流量が低下した脳の場所を青で示しています。
図1bのうつ病から回復している時は、脳の血流量低下している範囲がほとんど消えています。
出典:小山 北條 大月 山本 (2008) 脳血流 99mTc-ECD SPECT を用いたうつ病像の客観的評価
原因が何も分からないと本人に問題があると周囲から見られる
脳の機能障害に対して、誰も原因が分からないときは、本人の心の問題、本人の気持ちが弱い、ミスが多いのは性格の問題。と、周囲から見られます。
問題の原因は全て本人のせいにされます。
しかし、肝心の本人は怠けていたり、意図的に反抗しているわけでもないのです。
素直に良心に従って行った結果、不注意なミス、多動性、衝動性が起きてしまいます。
このような誤解を解くためには、やはり心療内科に行くのがよいでしょう。
バグった脳で無理ゲーを一生続けるのはやめよう
もし、スーパーマリオブラザズのゲームが、最初っからバグっている状態を想像してみましょう。
例えば、
普通なら300秒あるタイムが30秒しかない(時間管理機能が狂っている)
Bダッシュができない(動きが遅い)
きのこを取っても大きくならない(仕事を覚えられず成長しない)
ジャンプをしたつもりが、頻繁にクリボーぶつかる(ミスが多い)
突然マリオの動きが意図しない方向に進み、ノコノコにぶつかる(多動性)
突然逆走したい衝動が起きて、ゴールせずタイムオーバーになる(衝動性)
稀に突然スターを取ったときのように、無敵状態になる(過集中になる)
しかし、無敵状態は長くは続きません。
こんな状態だと、
マリオはすぐにタイムオーバーで死んだり、敵にぶつかったり穴に落ちて死ぬので、ライフの減りが異常に早い(自己嫌悪、劣等感が生じる)。
ライフが無くなると、また最初からゲームがスタートする(キャリアが積めない)
コインは0からスタート(経済的な貧困)
こうなってくると、
もうゲームをする価値がないと思い始めたら、ゲームに飽きて放棄するようになります(引きこもり、自殺企図、犯罪行為をする)
つまり、人生を悲観して諦めてしまいます。
そうなる前に、正しい対処をしなければ大変です。
発達障害者への社会の風当たりはまだまだ強い
実際におきた事件で、
発達障害者(アスペルガー症候群)の男性が、家族から『引きこもってないで働いたら』と言われて激昂し、姉を刺殺した事件がありました。
検察は被告に対して懲役16年を求刑しましたが、裁判所の判決はより重い懲役20年でした。
発達障害の被告は、再犯の可能性が高く、発達障害者に対する社会の受け皿がないと言う理由から、刑務所に長くいてくれる方が、本人にも世の中的にも良いという理由でした。
人生が窮地に陥ると、あなたも周囲の人間も大変です。
何かおかしいな。人生が生きずらいなと思ったら、早めに心療内科で診察して適切に対処してもらいましょう。
以下役に立ちそうなサイトをまとめました、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
ADHDかなと思ったら
ゆうメンタルクリニック(東京)
めちゃくちゃ生きにくいんだけど相談乗ってほしい!と思ったら
発達障害について何か情報ないの?と思ったら
最後までお読み頂きありがとうございます!
次回もお楽しみに!
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